つくば言語技術教育研究所
Top page
Contents menu

 「読書へのアニマシオン」とは,スペインのジャーナリストであるモンセラ・サルト氏が考案した,読書技術を子どもに授けるための体系的なメソッドです。「読書へのアニマシオン」は,子どもは本来読書するための潜在的な能力を持っているとの考えに立脚し,考え抜かれた作戦と呼ばれる遊びを繰り返し経験するうちに,子どもの中から自然に読むための力を引き出すことを目的としています。

 欧米の国語教育の中には,本を読むための技術を系統的に指導するための体系があります。聞いたり読んだりした物語を自分の言葉で語ること(再話する)ことから始め,テクスト(文章)の要約,テクストの分析と解釈(インタープリーティング),テクストの批判などの技術が,子どもの発達段階に応じて段階的,系統的に指導されます。

 「読書へのアニマシオン」は,学校で実施される読書技術教育を,子どもにとって最も楽しい遊びの形にして体系化し,子どもが楽しみながらいつの間にか自立した読者に成長することを支援します。文章に書かれたことがらを正確に理解することは,人が社会で自立して生きていくために最も重要な技術であり,能力です。子どもの時に,様々な機会を捉えて子どもの中から人間だけが持っている読む力を引き出すことは,大変重要なことです。「読書へのアニマシオン」は,子どもの読む力を伸ばすための最も有効なメソッドです。

「読書へのアニマシオン」の研究と指導

 当研究所所長は,1999年秋,スペインのESTEL(学習・教育・読書)文化協会(会長マリア・ドローレス・アグワーヨ・ナヴァス氏,アニマドール養成コース責任者M・モンセラ・サルト氏)の80時間セミナー*を受講しております。この講座は,「読書へのアニマシオン」の導き役・アニマドールの指導者を養成するための講座で,現在日本でこの資格を持っているのは10名のみです。

 当研究所では,ドイツ式の文学教育(読書技術教育)と並行して,「読書へのアニマシオン」の研究を行っています。現在開発されている75の作戦を当研究所所長が分類した結果,75の作戦が,見事に子どもの言語能力の発達,並びに,欧米の文学教育で実施されている読書技術教育のカリキュラムと一致することが明らかになりました。当研究所では,この作戦の分類結果に基づき,子どもの年齢に合わせて,作戦の実施に適した絵本,児童文学,ヤング・アダルト文学の研究,作戦に使用する素材の作成等を行っております。また同時に,作戦において子どもと本の橋渡し役を務めるアニマドールの養成を行っております。

 2001年12月に柏書房より刊行された「読書へのアニマシオン 75の作戦」(M. M. サルト著・宇野和美訳)において,当研究所所長は,監修者のカルメン・オンドサバル氏と新田恵子氏と共に主に欧米の文学教育(読書技術教育)の観点から翻訳協力をしています。

 当研究所の所長とスタッフは,2001年7月に設立された「モンセラ・サルト理論に基づく読書へのアニマシオン協会(会長カルメン・オンドサバル)」の会員として,ESTEL文化協会と緊密に連絡を取りながら,「読書へのアニマシオン」の研究と指導を行っています。
*読書へのアニマシオン80時間セミナーの概要
2000年11月6日〜17日(於スペイン・エステル協会)
La Asociacion Cultural Estel
Le curso de especializacion en ANIMACION A LA LECTURA de ochenta horas de duracion, celebrado en la sede de la Direccion General del Libro y las Bibliotecas del Ministerio de Educacion, Cultura y Deporte de Espana, del 6 al 17 de noviembre de 2000.
Monserrat Sarto (Directora de cursos)
モンセラ・サルト(講座責任者)
Maria Dolores Aguayo (Presidenta del Estel)
マリア・ドロレス・アグアヨ(エステル協会代表)
Maria Francisca Ripoll (Secretaria de Estel)
マリア・フランシスカ・リポル (エステル協会事務局)
「読書へのアニマシオン」の実施

 つくば言語技術教室では,各学年で年3回程度,「読書へのアニマシオン」を実施し,成果を上げています。文字を読み始めたばかりの子どもから,高校生までを対象に,75の作戦の分類結果に基づき,子どもの読書レベルに合わせて作戦を選択し,選書し,実施のための素材を作成し,実践を行います。作戦に適した良書を見つけるために,当研究所内で「読書チーム」を構成し,担当者が子どもの読書レベル別に手分けして本を読み,その結果を記録に残すなどの活動を積極的に行っています。

 幼児から高校生まで,系統的に「読書へのアニマシオン」を実施しているのは,国内では当研究所のみです。


All rights reserved, Copyright@Tsukuba Language Arts Institute